4/9
前へ
/77ページ
次へ
「…櫻姫サン……説明、してくださいますよね??……っ…」 凛の声は少し震えていて、 何かを飲み込むように、 私を気遣いながらも…… 最大限にキレていた。 「………………………ごめん」 何も、 何も言えなかった。 言えないんだよ。 「…櫻姫サン??分かっていますか?今自分が置かれている状況……。」 「……凛。マヂごめん……。いつか言うから………。マヂ…ごめん…………っ…ひゃっ…!!」 一瞬にしても目の前が暗闇になった。 それと共にふんわりとした凛の優しさが肌に伝わった。 凛に抱きしめられた。 凛、 傷つけて…ごめん。 「…櫻姫サン……。もう、いいです。もう、いいですから……。」 「……んっ……」 何も言わなくても、彼は分かっていたのかもしれない。 いなくなったことにも、 帰ってきたことにも、 まだ言えない理由があるって。 そういった疑問を後回しにして 彼は、 凛はずっと震える私を 抱きしめてくれた。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1172人が本棚に入れています
本棚に追加