高校1年生 ―4月―

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4月。入学式。 ――――――――――― 俺は蒜山崇。 高校一年生。 今日から隣街の高校へ通う。 通学手段は電車とバス。 片道約1時間。 指折りの進学校だ。 だが頭が良くて入れたわけではない。 いわばスポーツ推薦ってやつ。 バスケットボールの強化選手として入学を許されたってわけ。   通学のバスの中で窓の外を見つめると自転車に乗ってる同じ制服の子が俺の目に飛び込んだ。 同じ制服の子がたくさん学生が通学してるのに、 『その子』だけ……。 信号待ちするバスが止まる度にその気になる子を目で追っていた。   校門をくぐると、クラス分けされた表がでかく貼りだされていた。 俺の一年間のクラスは1組だ。 生徒達が表に群がる中、またも俺は無意識に『その子』を目で探してた。 「どうかしてるな」 ため息を付き俺は小声で呟いた。   下駄箱で上履き替えて教室へ向かい合うときに『その子』を転ばせてしまった。 廊下の門で出会い頭の事故。 「ごめん。大丈夫?」 と手を差し伸べた。 これが『その子』との初めての出会い……。  
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