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振り返ると琉依と名乗る女の子が立っていた。背は陽よりやや低い。目はこちらを見ているようで見ておらず、顔は笑みを浮かべていたが、目は虚ろだった。
陽は慌てて足があるか確かめた。足がちゃんと地についているのを確かめると、ホッとする反面、ずいぶん非現実的な事を考えたなあ、と自分自身に笑えた。
「いきなり話しかけるなよ。おどろくだろ!?てっきり幽霊かと…」
ここまで言って、陽は自分が言いたいのはこんなことじゃない、と慌てて付け加えた。
「えっと、ごめん、まだ名前、覚えれてなくて……青山 琉依さんって言ったよね?どうやってここに?ここ男子寮だよ…ね?それに俺声に出してた?」
「気にしない。気にしない。それより遅刻するよ?今 8時20分だから」
「へ?」
「じゃあまた後でね!」
「お、おい!」
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