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   息を整えながら教室の奥へ進むと、そこには話しかけてきた男の他に女の子が2人いた。 「俺は水城 埜亜。そんでもってこっちが如月 綾ちゃん」 髪の長い、大人しそうなほうが、小さく「どうも」と言いながら顔を上げないまま軽い会釈をした。つられて会釈をすると 「2人ともそんな緊張すんなって。そんでこっちが和泉 かんなちゃん」  綾の隣に座っていた女の子は肩までの黒髪で、見た目は綾と対照的だった。真っ直ぐこっちを見て 「はじめまして。和泉 かんなです。かんなって呼び捨てにしてもらって構わないから。これからよろしくね」 とにっこり笑った。  あまりに綺麗で、世の中にこんな綺麗な人がいるのかと驚いていると、埜亜はそんなことはお構いなしにという感じで窓のほうを指差した。 「あいつが神田 音夢。名前の通りほとんど寝てる。俺と幼稚園の頃からの親友だ」  寝てるので顔は見えないが、少し茶色がかったふわふわの髪をしていた。きっとかっこいいという言葉より、かわいいという言葉のほうが似合うタイプなのだろう。  
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