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ここは大陸西部の西シュレイド王国領土内にある小さな村。
『ココット』
この村に住む一人の青年狩人。名を『フォウル・クロフォード』
彼は今年で19歳。狩猟によって生計を立てる所謂、『狩人』である。
一般的に16歳ぐらいから狩人になる人がほとんどであるが彼は若干遅く狩人として生きることを志し、日々鍛練を続けていた。
とは言え、新米が貰える仕事はたかが知れている。
キノコを採ってこい。とか、薬草を採ってこい。などの簡単なモノばかりである。
そんなある日の朝だった。
大きな仕事が貰えず、憤りを感じていたフォウルの家に一人の友人が訪ねてきた。
「おぉい、フォウル!!起きてるかぁ~?」
朝も早くから大きな声を出している『彼』は幼い頃から遊んでいる、いわゆる幼馴染みというヤツだった。
その幼馴染みが家の前で大声を出している。放っていたら近所の迷惑になりかねない。というか既に自分の迷惑になっている。そう思い、フォウルはゆっくりと玄関を開けた。
「……朝っぱらからなんだよ…『クレイ』…」
玄関前でニコニコ笑う『クレイ』と呼ばれた友人…フォウルは眠たそうな顔で彼を見やった。
よく見れば彼は狩猟をするための装備を整えていた。肩や胸部、籠手などに鉄を使用し、腰部や脚部には動きやすさを重視しているのが即座に理解る動物の皮を使用した腰当てなどで構成されている鎧。
右腕には円形の盾が、そして腰には剣が一本差されている。
彼の姿を見やり、フォウルは何が目的で訪ねてきたのかを理解し、確認を兼ねて口をゆっくりと開いた。
「朝も早くに…仕事にいくのか…」
寝起きのせいだろう、重たい瞼をゴシゴシとこすりながらフォウルはクレイに聞いた。
「そりゃ勿論。二人で行けば普段より大きな仕事が貰えそうだしな。」
この言葉に妙に納得したフォウルは自室に戻り、愛用の身の丈以上に巨大な剣と鋼鉄と動物の皮で構成されている鎧を身に纏う。鎧は戦闘を行うことを軸に造られたのか背部に数本、短剣や小刀などか掛けられている。
狩人たちの熱き魂の物語は…これより始まる……
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