第1話

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「…さて、どんな仕事が貰えるやら。」 クレイは意気揚々と言葉を漏らしながら眼前に建つ建物を見やっていた。 ここは村の集会所で半分は村の酒場として機能し、村の話し合いや酒宴などが行われている場所。 最近では、『狩人』を一般的な仕事として確立させたハンターズギルドが出張ギルドを設立してくれている。 組合に仕事を貰い、それをこなして収入にする。 今や狩人は立派な職業なのだ。 フォウルとクレイ。彼等は二人とも新米なので個人で請け負える仕事はあまり収入が良くない。 しかし、二人同時ならばもしかしたら、より大きな仕事が請け負えるかもしれない。 そんな期待を胸に、二人は目の前の建物へと入っていくのだった… -集会所- ザワザワとほどよい騒がしさと鼻をつく、こんがりと焼けた肉の香り…そして喉を唸らせる酒の芳しい香り。 そこは老若男女を問わず、狩人として生きる総ての者たちが意気揚々と、明るく笑っている場所である。 「……相変わらず集会所は活気づいてるな。」 「村の連中ほとんどが入り浸ってるからな~」 二人は愉しそうに酒を呑む人たちを眺めながら、出張組合に何か仕事がないか聞いてみることにした。 「出張ギルド、ご利用ありがとうございます!!」 ニコニコと笑う受付の女性は二人の顔を見やる。受付嬢の笑顔を見るだけに集会所にやってくる者たちもいると話に聞いたことがあるほどに彼女は人気が高い。 とまれ、新米の二人にとってそんなことは関係がなく仕事が斡旋して貰えるのならばそれで良いと思っている。大切なのは自分達が出来る仕事をやっていく。いずれは大きな仕事も請け負えるようになる為に頑張っているのだ。 「新米の俺たちに出来る仕事はありそうかぃ?」 「出来ればキノコの採取とか以外でお願いしたいんだが…」 苦笑いを浮かべながら、フォウルとクレイは受付の女性に本音をいってみた。 それを聞いた受付の女性は、手元に乱雑している書類の中から一枚の紙を出して、何かを確認している… 「えっと…お二人で行えるのは…これですね。」 そう言いながら彼女が渡してきた紙に書かれていたのは、 『小型肉食竜ランポス数頭の間引き及びその頭目の討伐』 であった。
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