第1話

4/50
前へ
/193ページ
次へ
彼ら二人が依頼された内容は小型肉食竜の頭目を討伐すること。 彼の肉食竜は、この大陸のいたるところに生息している中型の肉食竜で同種の小型の肉食竜の頭目である。 そもそも『鳥竜』と呼ばれているこの手の肉食竜は数が多い。 なかでも今回の肉食竜はその数が他の烏竜の郡を抜いていて、獰猛な性格。 外見は青く、ざらざらとした鱗に覆われていて、常に3匹から5匹程度の数で徒党を組んで行動している。 先にも言ったように、性格は獰猛。さらに活動範囲が広いために、小さな村の農場や家畜などを襲い多大な被害を出している。 なかには村の住人が襲われ、食い殺されたという報告もあるくらいだ。 そういった被害を抑えるために、ハンターズギルド本社には討伐依頼の要請が多い。 本社としても新米狩人に安心して請け負ってもらえる仕事なのでありがたいのだ。 「準備は済んだか?」 入念に装着している鎧の具合を確かめながらクレイは腰の道具入れに道具を詰め込んでいるフォウルを見やる。 「そう急かすな…よっと。」 まだまだ準備が整っていなかったフォウルは口を尖らせながら準備を終わらせる。 「よし…あらかた必要な道具は揃ってるな…オレも行けるぜ。」 背中に背負う大剣の柄を二度三度握りながら彼は準備を終えたことをクレイに伝える。 「ったく。遅いぞ?さぁ、迎えの竜車も来てるんだ。さっさと行こうぜ。」 準備の遅れていた相方に口を尖らせながらも、表情は意気揚々なクレイにフォウルは嘆息を吐きながらも無言で頷くと、クレイの後を追い集会所の裏口を目指す。 集会所の裏口には狩人組合が用意してくれている『竜車』と呼ばれている『車』がある。仕事を請け負った狩人たちはこれに乗って狩猟をするための狩猟場に赴くのだ。 狩猟場に向かう移動中に肉食竜に襲われた。という話はまだ報告されていないが、狩人たちの野営拠点は幾度か襲撃されたこともあるので安全とは言い難い。 とまれ、二人を乗せた竜車は街道を走り狩猟場となる小高い丘山に向かって行くのだった…    
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加