こんな悪役はどうですか?

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今日も今日とてやられ役。 ああ、ヒーローは強い。 「おいおいボロボロじゃねーか」 「ほっとけ」 「そう言うな。仲間だろ」 誰が好き好んで悪の手先になったと思う。 ヒーローが思ってるように操られてる訳じゃない。 「もう良いんじゃねーの」 「まだだ。まだ組織を壊滅させてない」 「…なぁ、お前は俺達の仲間だろ?」 違うんだ。 悪の組織の仲間なんかじゃない。 仲間のフリ。 油断させて、ぶっ倒す。 「アイツら(ヒーロー)に言えば良いじゃねーか。潜入してんだって」 「言えねーよ」 「なんでだよ」 「敵を騙すには味方から、だろ?それに潜入なんて言ったらアイツらに止められるわ」 組織壊滅なんて簡単じゃない。 犠牲が必要なのだ。 大きな犠牲が。 「本当に仲間になっちまえよ」 「……うるせーよ」 「お前、最後は俺(ボス)と一緒に死ぬつもりだろ。相打ちなりなんなりしてさ」 ヒーローは強い。 間抜けな裏切り者の敵のお陰で偶然、偶然にもピンチを切り抜けたりするんだ。 「俺が死んだところでヒーローは泣かねーよ」 「泣くぜ、きっと」 「泣かねーって。アイツらは俺の前じゃ弱音吐かねーもん。俺に本音なんか話さねーもん。……俺なんか…」 悪は絶対的に滅びるのだ。 俺は、アイツら(ヒーロー)に分かってもらえなくても良い。 俺を悪だと、思ったままで良い。 俺一人で世界の闇が倒せるなら安いもんだ。 「……地球侵略なんか止めよっかな」 「…何、スパイの俺を殺すのが先?」 「んー」 「優しいスパイを俺の星に誘拐するのが先になった」
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