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僕はずっと海を見ていた。   自由に泳ぐ魚を見ていた。     自由なら 鳥になりたいと思うだろうが、   僕には 鳥は空に縛られてるように見えた。     魚は自由に見えた。   スイスイ… スイスイ…   右に左に…   まるで 無重力の中にいるように。    空の青さ、高さよりも 海の蒼さ、深さの方が 僕には合ってるような気がした。     そして時には 空の青さを求めて 高く飛んでみたり。   届くわけないなんて 知りながらも。     そう考えるうちに 僕は海へと身を投げた。   遠くから 誰かの声が聞こえる…   その声も だんだん遠くなる。     なんだ… 海からでも 青さは変わらないじゃないか。   どんどん沈んでく…     僕はやっと魚になれた。
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