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「其之者、木曜の性と水曜の名を抱く者也。
常闇に光を齎(もたら)す者にして其之光を覆す者也。
其之者訪れし日、世界は編成する。
此の世界存亡の鍵を握る者也。
其之絶大なりし才、努々(ゆめゆめ)疑う事勿れ。
其之才、努々探る事無かれ。
何故ならば――」
預伝者(あずかりつたえしもの)トラ・タスは、其処にて命尽きた。
怯えし愚王ロネ・ウルベの剣に掛かって。
然し、其れを確っかりと聞き留めた家臣の一人は密かに石工に命じて石碑に預伝者の言葉を刻ませた。
断罪の丘にある預伝者の石碑の由来である。
『十二王家 正伝 牡牛国記 第五章第五節』より抜粋。
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