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目の前の男子生徒…っていうか、サウス・ウザコスタの話は簡単な割にはとても壮絶だった。
『あいつは元々貴族だった。だけど、5歳の誕生日に魔力が無いことがわかると……実の親に捨てられたんだ。』
しかも、ウィリアムは元・貴族だったという新事実が発覚。
そりゃ、偉そうな態度にもなるわな…
『そんな両親に復讐をするため、ギルドマスターに拾われたウィリアムは血が滲むような努力をしたんだ。』
川べりで体育座りをする俺の横で、サウスは無言で石を投げる。
けれど俺は黙ったままさっきの話を頭の中で繰り返していた。
『そんで、5年前の魔族対人類攻防戦争でウィリアムは……「黄金の獅子」って呼ばれるようにまでなったんだ。』
――ウィリアムが「黄金の獅子」。
その事実は、何となく感づいていた俺でも受け入れ難いものだった。
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