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寒さで白くなる息を吐きながら小高い丘を登った俺はその花束をそっと石碑の前に置く。
そして、ゆっくりと膝をついて、優しく侘びるように石碑を撫でた。
「ごめんな…ルイ。最近忙しくて中々来れなかった。」
墓に眠る友のことを想いながら、海の見えるこの丘で一人呟く俺の頬を冷たい潮風が吹きつける。
それがまるでルイに怒られているように思えて、俺は思わず苦笑を漏らした。
「いや、本当悪かったって。王子付きの護衛官になってから凄ぇ忙しかったんだよ。」
だけど、それに返ってくる声はない。
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