今俺にできること

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授業がおわって、充が雪乃をひっぱって歩く。その様子を見たクラスメイトがざわつく。でも、いまはそんなことにかまっていられなかった。早く雪乃に笑顔になってもらいたい。 (今、俺にできることをやるしかない!) しばらく歩くと雪乃の歩くスピードが遅くなっていく。辺りを見渡すと、雪乃には見慣れた景色が並ぶ。 「吉村くん…?」 不安げな声で雪乃が声をかける。充は何も言わず歩いていく。ふと立ち止まった場所には大きなマンションが建っていた。 「よしむらくん……。」 どんどん足が進まなくなる。充は無理矢理歩かせて、1103号室で足を止める。 充がインターホンをならす。 「吉村くん、私…。」 泣きそうな声で何かを訴えようとしていた。 ガチャッ ドアが開いて、一人の男の人が出てきた。そのとたん、雪乃が充の腕をふりはらって駆け出した。 「寄一!」 充はあとを追い駆けた。男の人は黙ってその場を見ていた。
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