【エルアーク】

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◇朧げな選択◇ -2- 伸びた巨人の手が、抵抗する○○の身体を掴む。 硬質の五指胴と片腕をしっかりと挟み、○○の足がふわりと地面から離れた。 「くっ」 僅かに息が詰まる。が、それ以上の締め付けは無い。ただ巨人の手により身体は地面から持ち上げられ、空中でほぼ完全に固定されていた。 ○○は何とかその拘束から逃れようともがくも、力の差は圧倒的で、どれだけ暴れてもぴくりともしない。 どうやら握りつぶすつもりは無いようだが、それでも、このままではどうなるか判ったものではない。動きを完全に封じられる。つまり相手に対して完全に無抵抗な姿を晒しているという事実は、抗い難い恐怖心を生む。 ○○は半ば無理とは判っていながら、しかし更に力を込めて暴れようとして、 「ーーいします!それーーかないで、貴方のーーがっ!」 それを、巨人の肩上に居た黒衣の少女の声が遮った。 言葉の意味ははっきりと判らないながらも、強い力が込められた声音に○○は縛られ、動きを止めて彼女を見る。 少女はくすんだ金髪をなびかせて巨人の肩上から足を踏み出すと、長いスカートを摘みながらとんとんと巨人の太い腕を伝って、こちらへと走ってくる。 そして迫る彼女の勢いに押されて、思わず身をよじった○○に更なる声。 「手をーーさい、右ですっ!!」 今度は、断片的にだが意味は伝わった。 (手と、右?) ○○は言われるまま、巨人に掴まれていなかった自身の右の手を見て。image=264650353.jpg
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