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プレイオが纏っていた重い鉄の鎧とは違い、厚手の布で出来た藍色の長衣を着ている樹楊。
樹楊は慌てて自分の戦衣を見やり、ぎこちなく頷く。
「そう。なら助かった。ねぇアンタ、この戦の指揮官の所まで連れてってくれる?」
訳が分からない。
何が目的なのかも、一欠片も解らない。
時間を止められたように動けずにいると、森の外から大歓声が沸き上がる。
それは歓喜に満ちていて、弾んでいる。
少女は視線をそちらに向けると「撃退成功ね」と、どうでも良さそうに呟く。
天が歓声を受け、雨を落とす事をやめると、彩色が鮮やかな虹を空に架ける。
少女は天に向かって鼻で笑うと、フードを邪魔そうに払い除ける。
すると、その中から真紅の髪が木漏れ日を反射させながら姿を現した。
赤よりも紅く、猛々しく揺れる髪は背中の中心まで伸ばされている。
「さ、行こう? 敵は撤退したみたいだし」
その少女の眼は剣先よりも鋭く、大きな瞳は無邪気に輝いている。
意地悪に結ぶ口は薄紅。
幼い容姿だが、どこか大人びていて繊細。
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