第一章 

9/35
前へ
/832ページ
次へ
少女は身を翻すと、歓声が鳴り止みそうにもない森外へ向かって歩き出す。 炎は何でも焼き尽くすって本当らしい。 少女は思い出したように足を止めると、振り返ってくる。 「戦が怖いなら剣を捨てる事ね、ガキ」  そんな悪態を吐かれたというのにも関わらず、少女という炎で樹楊の目は焼かれていた。  過ぎていく時間に我を取り戻した樹楊は、値踏みするような目で地に転がる三本の剣を眺める。  そしてその三本の剣を纏めて持つと、森の木々な立ち並ぶ中へ放り投げる。 「戦が怖くても剣は捨てれねぇんだよ」  舌打ちをし、自分も歓声の渦を目指して歩き出す。
/832ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16426人が本棚に入れています
本棚に追加