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「赤麗(セキレイ)? 何だそりゃ?」
スクライド本国に戻った樹楊は、城下町にある一軒の酒場の隅で、友のアギと勝ち戦を祝っていた。
アラサード・ギギト。
通称アギ。
年齢は樹楊と同じで十七歳だが、小隊長を任せられるほどの腕を持つランサーである。
アギは寸胴なグラスに入ったブランデーを一口飲むと「知らんのか?」と訊き返してくる。
「知らん、そんな怪しい部隊」
樹楊は異常な盛り上がりを見せる店内を一瞥しながら返し、樹楊の心情を察したアギが苦笑しながら宥める。
「まぁ、仕方ないだろう。あのクルードを退けたんだ。騒ぐのも無理はない」
金色の髪を掻き上げて、優しい碧眼で見てくる。戦ともなれば鬼の様な剣幕をするくせに、普段は柔らかな面持ちのアギに、樹楊は仕方なくといった感じで頷く。
「で、その赤麗ってなんだ? 今日の戦はそいつらの力のお陰らしいけど」
アギは、あぁと頷くとグラスを置いて思いに更けるように口を開いた。
「赤麗ってのは、十人編成からなる傭兵みたいなモンだ」
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