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「みたいな? 随分濁らせるんだな?」
アギは苦虫を噛み潰したような顔をすると、続ける。
「傭兵ってよりも、賊みたいな奴等さ。何処の国にも所属せず、金で動く血の気が荒い奴等の集まりだ。赤麗という名前から取ったのか着ている長衣は真っ赤でな……何でも返り血に染まりまくった白の長衣を見た者が『血のように麗しい衣』と言った事からついた名前とも言われている」
樹楊は思い出した。
昼間、血吹雪と雨の中に立ち尽くす少女の混沌とした姿を。
彼女の顔を見た瞬間、戯曲にでも出てくる妖精を連想したがそれは違う。
アレは、血に飢えた狂戦士のハズだ。
首筋に残っていた寒気が、再度走り出す。
樹楊は首を撫でると、小樽に入った葡萄酒をあおうように飲み干した。
「なるほどね。金で雇われた赤麗が、俺達に加担してくれたお陰で今日は勝ち戦に酔えるってわけか。この先も助かるね」
皮肉そうに吐き捨てる樹楊だが、アギの面持ちは強張る。
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