第一章 

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「みたいな? 随分濁らせるんだな?」 アギは苦虫を噛み潰したような顔をすると、続ける。 「傭兵ってよりも、賊みたいな奴等さ。何処の国にも所属せず、金で動く血の気が荒い奴等の集まりだ。赤麗という名前から取ったのか着ている長衣は真っ赤でな……何でも返り血に染まりまくった白の長衣を見た者が『血のように麗しい衣』と言った事からついた名前とも言われている」 樹楊は思い出した。 昼間、血吹雪と雨の中に立ち尽くす少女の混沌とした姿を。 彼女の顔を見た瞬間、戯曲にでも出てくる妖精を連想したがそれは違う。 アレは、血に飢えた狂戦士のハズだ。 首筋に残っていた寒気が、再度走り出す。 樹楊は首を撫でると、小樽に入った葡萄酒をあおうように飲み干した。 「なるほどね。金で雇われた赤麗が、俺達に加担してくれたお陰で今日は勝ち戦に酔えるってわけか。この先も助かるね」   皮肉そうに吐き捨てる樹楊だが、アギの面持ちは強張る。
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