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「キョウ、赤麗を雇う事が何を意味するのか解ってるのか?」
キョウじゃなくて、キヨウだっつーの。
と、突っ込んでいたのは十年も前で、今となってはあだ名のキョウと呼ばれるのが自然となっていた。
樹楊は「さぁね」と興味無さそうに酒を飲む。
「赤麗は大金でしか動かないらしい。今回奴等に積んだ額は一年雇用契約で三億ギラだ」
「さっ、三億!?」
樹楊の渾身の叫びは酒場の隅々に行き渡り皆振り向いてくるが、何もない事を確認すると各々の話で再度盛り上がりを見せた。
樹楊はそんな事も知らず、金の勘定に入っている。
自分の月の俸給は三〇万ギラ。
これは国に仕える剣士以外の一般人の平均月収だ。一年で約三六〇万ギラ。
これの約百倍の額を赤麗は受け取っている。
一人当たりにしても、樹楊の年収の十倍近くになる。
しかしアギは
「奴等が貰う額などどうでもいい」と呟く。
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