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潜り抜けてきた戦地は数十にも及ぶが、大した功績もなし。
詰まる所、何処にでもいるような一般兵士なのだ。どうあがいてもこのハゲに勝てるわけがない。
仮にハゲを倒したとしても、後ろに二人控えている。
奇跡は起こらないから奇跡と言うのだ。
「は、ははっ。俺を殺しても名誉にはならんだろうし、その剣を傷めるには勿体無いと思うけど」
樹楊は何とか逃れようとするが、ハゲは強面の表情を動かさずに吐き捨てる。
「我が国、クルードの教えは『皆殺し』だ。例え、弱国スクライドが相手でもそれは変わらん」
ハゲの国、クルードは生粋の武力国家であり、実力主義の隊を編成している。
かくいうハゲはクルードの何十とある隊の長であり、その風格は肩書きに恥じない猛々しさがある。
その名、プレイオと言う。
「お前も剣士なら己が剣で道を切り拓いてみよ! 戦で死する事を名誉と思え!」
「るせぇ! ハゲ散らかしてんじゃねぇぞ、コラ! 死んだら元も子もねぇだろうがっ」
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