第一章 

4/35
前へ
/832ページ
次へ
樹楊の怒号は後ろの二人、ハゲの部下に焦りを与えた。何やらプレイオの頭をちらちら見ている。 俯いてぷるぷる震えるプレイオ。 その頭に弾かれる雨は、面白いように弾んでいる、ように見える。 「お、俺っ……俺」 泣いているのか? と、樹楊は顔を覗き込もうとした瞬間、鬼の形相で睨まれた。 「俺の頭に散らかすほどの髪の毛はないわぁ!」 「うお! ちょ、ちょっと待てって!」 「黙れ、小僧! 今真っ二つに――」 してやるわ、と叫ぼうとしたのだろう。 しかし、部下が寄り掛かり、それを阻止した。 「邪魔をするな!」 丸太のような腕を振り回し、拳で部下の胸元を鎧越しに殴る。 部下は力なく吹き飛び、起き上がってくる事は無かった。 血が雨と混じり合い、みるみる内に広がっていく。 プレイオが驚きの音を上げる前に、その隣でもう一人の部下が崩れ落ちる。 同じく、雨と血の海を広げる。
/832ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16426人が本棚に入れています
本棚に追加