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混乱したプレイオは弾かれるように、樹楊の方へ振り返り、その様に叫ぶ。
「小僧っ、お前魔術師だったのか!」
「は? 違うっつーのっ。お前が部下を殺したんだろうが!」
「な、何を!」
戦からかけ離れた言い争いに、一つの溜め息が重く振ってきた。
それは、プレイオの頭の上から。
深紅の長衣を纏った者が、同じく深紅の剣を肩に担いで見下ろしてきている。
「アンタら、馬鹿? 剣士なら口の前に手を動かしなさいよね」
ちらっと視線を向けられた樹楊は、言葉を詰まらせて後ずさると下げていた剣を構えた。
その声音は少女のようだった。
プレイオの滑りそうな頭の上に立っているから解り辛いが、背丈も高くない。
「いつまで人の頭の上に立っているか、小娘! この狼藉、ただでは済まぬぞ!」
プレイオは、いよいよ顔を真っ赤にして吠える。抜いていた分厚い剣を強く握り締めて――が、意識が切れたように動かなくなった。
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