第一章 

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「あら、ごめんね? 今降りるから」 少女が背のホルダーに剣を納めるのが合図のようだった。   プレイオの身体が股間から脳天まで真っ二つに割れ、少女の両足に裂かれるように広がっていく。 二分の一になったプレイオの身体は、切断面から大量の血が雨となって天に向かっていくが、やがて重力に負けて地に落ちていく。 雨と血の共演の中、少女は樹楊を見つめたまま動かない。 樹楊の首筋から背筋に、蟲が這うような寒気が這いずり回った。 逃げなければ不味い。 対峙していたプレイオは口先で巻けると思ったが、この少女には通用しない。 退路を探そうかと広がる視界に集中した瞬間。 ぴちゃっ……。 少女が樹楊に向って足を踏み出す。 一歩、また一歩と。 確実に。 樹楊もそれに倣うかのように一歩一歩、後ずさる。しかし、それは長く続かなかった。 樹楊の後方は崖の壁面で行き止まりなのだ。
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