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「ふぅーん……そっか」
彼女はしばし俺の目を見据えた後、無垢な笑みを浮かべてきた。
「おかしいかな? こんな考え方するのって」
何だか、真剣な態度で話してしまった自分自身が恥ずかしくなってしまい、思わず頭を掻いてしまう俺。彼女はそれに対し、ゆっくりと首を横に振った。
「そんな事ない。実を言うとね、あたしも同じ事を考えてたんだよ? シルフィールがスパイで、情報を軍に流してたのは別として、”W.R.M”の本拠地が易々と侵攻されちゃうのには、何か裏があるんじゃないかって。
もしかしたら、わざとそうなるように仕向けてるんじゃないかなぁ? タカヤ辺りが……」
「貴也か……断定は出来ないけど、可能性は否定出来ないよな」
それは、俺に隠し事をしているのにも直結する。そして、朱崎誠実――
(まさか……)
いや、まさか……な。父は既に還らぬヒトとなっている。その可能性は有り得ない。だけど……
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