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「このネックレスはね……桜の木の下で、麻里奈がくれたものなの」  ふと、彼女は首に掛けていたネックレスの飾りの部分を掌(てのひら)に乗せ、それを俺に提示した。 「麻里奈……? ああ、シアの昔の友達の事か」 「うん。その娘が、あたしの誕生日のお祝いとして、買ってくれたの。その数日後に、死んじゃったけどね……」 「シア……」  辛辣そうに話す彼女の姿に、俺は動揺を隠せないでいる。  彼女の過去については、レイヴァルト・オルトロスによる反乱時に知る事となった。その結末は悲しいものであったが…… (そういえば、あの日記……まだシアには見せてなかったな)  本来なら、シアに手渡される筈であった、レイヴァーの日記。だが、俺はそれを渡す事はしなかったのだ。彼女の為を思っての行動であったが、それが本当に正しかったのかどうかは分からない。もしかすると、彼女は知るべきだったのかもしれない。彼が言いたかった事、そして、真相を――
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