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「ん……タカヤの命令でね。一年前からずっと、おにいちゃんの事を見続けてきたよ」
彼女は悲しげに答え、ゆっくりとその瞳をこちらに向けてくる。
「おにいちゃんが本当に、”W.R.M”のエージェントとしての資質があるのかを確かめる……――それが、タカヤから下された、あたしの任務だった」
「…………」
「最初は監視の為におにいちゃんの行動を見てきたけど、そんな事を繰り返してる内に……おにいちゃんの姿が麻里奈と重なるようになっていったの。おにいちゃんの一生懸命な姿、家族や友達を大切に思う心、そして――何よりも、こんな世界でも懸命に生き続けようとする姿勢が」
そこまで話したところで、シアは目を細め、頬を赤く染めた。俺はそれに対し、目を丸くする。
「だから、あなたを”W.R.M”に引き込ませたくて、命令を無視して……廃屋で接触したの。本当はミズホの仲介の元、話を進めていく筈だったんだけどね」
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