虚空

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 その男は敗れた後に行方知れずとなり、最近まで捜索が行われていたのだが、現在は作戦進行中である為に、あやふやになってしまっている。  ウォードが意を決し、発動コードの入力を始めている中でも、エージェントと国連軍の戦いは続いていた。数で勝る軍に対し、個々人の戦闘力が軍よりも優れているエージェント達。互いの長所が矛盾を生み、それが長期戦へと至る要因となっている。  恐らく、火力による国連軍側の作戦なのだろう。守りに徹する事しか出来ないエージェント達にとってはじり貧としか言いようが無かったのだ。それは、他のエリアでも同じかもしれない。  システム”アポカリフィス”による電波障害の影響のせいか、他エリアの状況が確認出来ずにいる。その為、一番隊は孤立状態にあった。  援軍が期待出来ない以上、ウォードがコードを発動させるまで、自分達がこの場で踏ん張らなければならない……そんな責任感が、自然とエージェント達の胸の内には焼き付いていたのである。
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