虚空

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 しかし、その想いが隊長であるウォードに届いている筈もなく、彼は舌打ちしながら、コードの解除に集中していた。 「思ったより複雑だな、こりゃあ……」  彼の前に示されたコードの配列は、ある種の暗号となっており、答えを知っていても全てを紐解く事が難しいと感じてしまう。それでも、これを終わらせなければ、戦う事さえ出来なかった。  それから数十分が経ち、彼はようやっとコードの解除に成功し、思わずガッツポーズをとってしまう。その直後、コードの入出力装置が虹色に光り出し、壁の中へと埋まっていったのだ。彼は驚いて装置のあった場所を眺めると、そこには鍵のような物が置かれていた。 「これだな……エマーソンの爺さんが言ってた、ブリッジのキーってのは」  ウォードはすぐにその正体を察知し、取り出す。今度は部屋の奥にある下り階段をゆっくりと下りていった。  暫く歩いていると、何もない小部屋へと辿り着く。
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