虚空

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「これって、戦艦か何かか……?」  三種類の立体図を見せられたからか、ウォードの熱は冷めていき、エマーソンの話に耳を傾ける姿勢をとるまでに彼は冷静になった。 「極端に言えばそうじゃが、間違いでもあるのぉ。確かに砲撃ユニット等は完備しておるがの、あれは乗り物とかいう類ではないのじゃよ。強いて言うなら……」 「言うなら……?」 「…………」  エマーソンは渋い表情でウォードを見据え、直ぐに笑顔へと変化する。これには彼も、目を丸くするしかなかった。 「秘密じゃ」 「はあっ!?」  もう、この老人が何を考えているのかが分からなくなってしまった。元から掴みどころのない人物ではあったが、ここまで来ると、もはや変人としか言いようがない。ある意味では”博士”という称号は、彼の存在を定義する事が出来るものなのだろう。ウォードでも、それは理解出来る。 「まあ、結論を述べるのは簡単じゃが、急く事でもあるまい。あと二つ……二つのコードが解除されれば、エノメイアがどのような物なのかが、はっきりと分かるからのぉ」
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