虚空

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―2―  同じ頃、エノメイアのコード解除に取り掛かっていたロアンは、カイルから手渡された資料を見て困惑していた。内容は、コード解除の為の方法が描かれているものであったが、あまりにも緻密に記されていた為、何処から手を付ければいいのかが分からなくなったのである。  元から彼は文系ではなかったので、ある意味虐めであったのだろう。彼の側でクスクスと笑う涼子を見れば、一目瞭然である。  こういった謎解きが得意そうなガイルはと言うと、現在は他のエージェントらと共に、博物館の守りについていた。ガイルいわく―― 「ロアンは我等の隊長だ。戦いにおいて、将は後方にて身を置く事が定石。故に前線へは、自分が立たせてもらおう」  ……という理由で、彼はコード解除をロアンに一任したのだ。ただ、ガイルの扱いに関しては常人の域を超えている為、代理のロアンでは手に余るものがあった。仕方なしに、彼はその意思を尊重した訳なのだが……
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