710人が本棚に入れています
本棚に追加
「……無理」
頭の中が爆発寸前になっていた彼は、全てを投げ出すかの勢いでそう呟いた。同時に、壁際に待機していたカイルを一瞥する。
「お前、ちょっと変われや」
「ええっ!?」
いきなりな采配に、戸惑いを隠せないカイル。だが、ロアンはお構いなしに話を続ける。
「俺にこの解除は無理なんだよ。お前、俺達の作戦担当者だろ? だったら、このコードの解除だって、御手の物な筈だぜ?」
「い、いやあ……はははっ。僕も、博士から資料を手渡されただけっすから、よく分からないんすよ……」
カイルは申し訳なさそうに笑い、頭を掻いた。
「チッ……役に立たねえな」
そんな彼に対し、ロアンは溜め息をついてから、再び作業に戻っていく。
「大変そうやなぁ、ロアン」
それをからかうように、涼子は彼の隣へと歩み寄り、その場に座り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!