虚空

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「……無理」  頭の中が爆発寸前になっていた彼は、全てを投げ出すかの勢いでそう呟いた。同時に、壁際に待機していたカイルを一瞥する。 「お前、ちょっと変われや」 「ええっ!?」  いきなりな采配に、戸惑いを隠せないカイル。だが、ロアンはお構いなしに話を続ける。 「俺にこの解除は無理なんだよ。お前、俺達の作戦担当者だろ? だったら、このコードの解除だって、御手の物な筈だぜ?」 「い、いやあ……はははっ。僕も、博士から資料を手渡されただけっすから、よく分からないんすよ……」  カイルは申し訳なさそうに笑い、頭を掻いた。 「チッ……役に立たねえな」  そんな彼に対し、ロアンは溜め息をついてから、再び作業に戻っていく。 「大変そうやなぁ、ロアン」  それをからかうように、涼子は彼の隣へと歩み寄り、その場に座り込んだ。
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