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「そう思うんだったら、少しは手伝ってくれてもいいんじゃねえか、姐さんよぉ?」
不服そうな面持ちでロアンは彼女を見遣り、作業の手を止める。
「はあ……あたしかて、手伝ってあげたいんは山々やけど、なーんか体の調子が悪うてなぁ……」
そう言って涼子は、トントンと自分の肩を叩いてみせた。その姿に彼は溜め息をつく。
「冗談や、じょーだん。あたしが解読したげるさかい、あんたはコードの解除に専念してぇや」
アハハ……と涼子は笑い、無理矢理彼の手から資料を取り上げた。
「へいへい、そりゃあ助かるねえ」
彼もまた、皮肉めいた一言を吐いてから、コードの設置されている床に目を向ける。
「ほな、行くで……」
そうして彼女は的確とも言える指示を出し、ロアンはそれに淡々と従っていく。先程までは一つのコードを解除するのに戸惑っていたのだが、彼女の協力のおかげで、何とか全てを解除するまでに至ったのだ。
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