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「よっしゃあ! 完了っと」
額から出る汗を拭い、喜びに満ちた姿はまるで、一仕事を終えたプロの職人のようである。そう思わせる程に、解除を終えたロアンの表情は清々しかった。涼子も満足げに笑い、手に持っていた資料をカイルに手渡す。
カイルは一連の動作を確認し終えたところで、壁の一部分を殴った。
すると、彼等のいるフロアが揺れ、地鳴りのような音を立て始めたのである。
「な、何だぁ!?」
突然の事に頭がついていかず、ロアンは困惑してしまう。
「一体、何が起こったってんだ?」
「はははっ、驚いたっすか? コード解除に伴って、このフロアのシステムが復旧したんすよ」
「システム……?」
涼子は首を傾げ、辺りを見回した。ふと、窓の外を見てみると――本来は固定されている筈の外の景観が、別の物に変化していたのだ。しかも、それは数秒毎に空へ向かって昇っていっているような錯覚を起こさせる。
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