虚空

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 いや、厳密に言えば、このフロアそのものが地下へと潜っているのだ。カイルの言っていたシステムとは、博物館内にセットされていたであろうエレベーターの事だったのである。 「なあ、この博物館って一体……」  ロアンは何気なく、カイルに問い掛ける。 「ああ、このフロアもエノメイアの一部なんすよ。博物館自体は関係ないけど、何故かこの部屋だけがそれに繋がっているみたいでして……」 「何や、曖昧な答えやなぁ……もしかして、あんたも詳しい事は分かってへんのとちゃう?」 「……そうなのか?」 「はは……っ、涼子さんのおっしゃる通りっす。僕も、エノメイアの中に入るのは初めてなもんですから、はっきりと答えられなかったと言うか……」  カイルは照れを隠さずに頭を掻き、深々と頭を下げた。その姿に二人は互いに顔を見合わせ、苦笑する。 「……って事は、俺達は既に、エノメイアの中に入ってるって訳か?」
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