虚空

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―3― 「あった……これで、最後!」  自らの心に火を点けるように、正樹は声をあげ、眼前の箱型の装置をショットガンで破壊した。破壊された装置からは火花が飛び散り、施設内外に張り巡らされていた赤外線レーザーは、周囲の背景に溶け込むようにその姿を消していく。  これにより、”W.R.M”の施したトラップは全て解除した事になる。雅人はよくやった……とばかりに正樹の肩を叩き、自身の武器を構えた。  その直後――何もない小部屋の扉が勢いよく開かれ、黒の戦闘服に身を纏った連中がなだれ込んで来たのである。 「今の音は何だっ!?」  連中の一人が声をあげ、雅人達に目を向けてくる。どうやら、状況が把握出来ていないようだが…… 「現れたか……」  と、そんな中で――アレンが前へと踊り出、身構えたのだ。トラップを解除出来たからか、彼の表情には余裕があり、しかし眼差しは鋭かった。
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