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「先に行っててくれ、中尉。この場は私が引き受ける」
彼は背中越しからそう言って、右腕を高く掲げてみせた。その姿に雅人も了承の旨を示し、正樹と晴美を連れて、別の扉から外へと出て行く。
それを見送った後、アレンは深呼吸をし、駆け出した――
「せえぃああああっ!!」
瞬間……彼は咆哮し、目の前で惑うエージェント達を薙ぎ払っていく。
だが、これがきっかけとなったのか、ようやっと理解した様子でエージェント達も、彼に攻撃を仕掛けていった。
襲い来る剣戟と銃弾を回避しつつ、意図も簡単に連中を殺していくアレン。しかし、次第に彼の表情からは余裕が無くなっていった。
理由は簡単……エージェント達は一気に彼を攻める事はせず、敢えて数を分けながら、小部屋の壁側へと追い詰めていたからである。普段のアレンなら、得意の殺人術で敵を討ち、後方へと下がる事はないのだが、今回は異例のケースだった。
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