始まりの雨

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「あー…やっちやったなぁー」 ポツリとつぶやいたそんな一人言も、今は目の前に降りしきる雨の音に掻き消され、誰にも不審がられることは無かった。 もとより通行人の少ない通りだから、人に聞かれる可能性は低かったのだろうが、とりあえず今の一人言は、目の前に厚く立ち込める雨雲にしか聞かれて居なかったようだ。 朝から雨が降っていてくれたら、傘を持ってきたのに… いや、せめて今日の朝ちゃんと天気予報を見れていれば良かったんだろうなー… まあ…寝坊したから無理だったかなぁー… と、朝からの自分の行いを振り返り、今の自分の置かれた状況の不本意さを考えてみた。 今の自分は図書館の前にいて、自分にとっては予想外の雨に、自宅への帰路を阻まれている。 今思えば、今日は何だか目覚めた時からツイて居なかったのだ。
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