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外の声は自らの力を自覚していた。
すぐに助けを呼ぶと言う。
しかし内の声は安堵と、数倍以上の恐怖を感じていた。
そばにいて欲しいと願う。
しばしの問答の後に、共に助けを待つ事になる。
更に時は過ぎ、長い長い夜に月が傾く。
外の幼子は、疲労に、心細さに限界を越えたのだろうか、すすり泣きを始め、徐々にその声を増し、声を上げて泣き出した。
内の声はなんとか泣きやませようと必死になだめる。
泣く者には泣かぬ者をつるという事を知っていたから。
(アメノウズメに泣かれてはな。)
内に響く別の声、物理的には響かぬ声、内の幼子にだけ聞こえた。
岩穴の奥底に小さな淡い光がポツリと一点。
認識した瞬間。
はっきりとした、全てを貫く幼子の声と強い光が幼子を襲う。
朝の心細い光を浴び、二人の幼子は泣きあい、生を確かめあう。
岩穴の小さな隙間からは光が漏れていた。
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