1.何でもアリな我が一族

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「九堂と言えば、あいつの女装……じゃなくて、あの格好にも見慣れてきたよな」 生まれ落ちてからずっと男として生きてきたゆずるは、人生15年目にして急に女として生きることを決意したらしい。 床屋ではなく美容院で髪を切るようになってから、同じ短い髪なのに、急に少女らしくなるから不思議だ。 制服も、男子の物ではなく、女子の物を着ている。 つまり、スカートを穿いているのだ! ゆずるを男だと信じて疑わなかった同級生たちは当然驚いたし、一時は町中が大騒ぎだった。 だが、見慣れてきたという木村の言葉は、皆の思いを代弁しているようだ。 数ヶ月が経ち、ようやく落ち着いてきた感じがする。 「見慣れると、九堂って、可愛かったんだな。他の女子とは格違いに」 「そうだろ? 数と同じくらいに整った顔をしているけど、数より細っこいところがギュッとしたくなるカンジだろ?」   あと、力が使えない時に、憂鬱そうにしている様子がめっちゃ可愛い。
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