1.何でもアリな我が一族

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数久に聞いたところ、テスト用紙には、その問題を作った先生の念が込められていて、念さえ感じ取れればそこから答えが読み取れてしまう……ということらしい。   白紙の回答欄にうっすら『ア』とか『イ』とか、具体的な数字が初めて浮かび見えた時は、マジで、びっくらたまげた。 危うく試験監督の先生に挙手して、回答欄に答えがすでに埋まっていると告げるところだった。 いや、手を上げていたかもしれない。 数久がテレパシーで説明してくれなかったら。 あんまりにも正解率が高いと、それが直久の場合、今までが今までなので不審を抱かれてしまうというわけで、適当にわざと不正解を書いて、答案を提出した。 だが、今までの直久の成績は、直久自身が思っていたよりひどかったらしい。 成績が急激に上がったということで、カンニング疑惑が浮上し、たった今、職員室にお呼ばれされてきたのだ。 数十分間の問答の結論は、直久は本当に数久と一卵性の双子だったのだ、ということに落ち着いた。 数久の成績が小学校時代からトップクラスだということは、中学校の職員室内でも有名で、むしろ今までその双子の兄の成績がどん底だということに疑問視されていたくらいだ。
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