1.何でもアリな我が一族

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普段、一人でも十分に強いから、直久に黙って人外イキモノの退治に行ってしまうけれど、満月が近付いてくると、直久の側にいてくれる。 守ってくれなんて意地でも言わない彼女は、何だかんだ側にいる理由を捜して、直久の手の届くところにいるのだ。 憂鬱そうな雰囲気と不本意そうな顔は初めだけ。 直久が白い歯を見せて笑い、手を招くと、気まずそうに顔を顰め、照れたように俯いて、傍らに座ってくれる。   「最近、数の声がさー。ちょっと低くなったんだよ。それに比べゆずるの声は、きれーなの。耳に心地良いんだよなぁ。数の躰は、ギュッとすると骨張って固いんだけど、ゆずるは柔らかいし。なんつーか、気持ちいいし、落ち着くんだよなぁ」 「直久。のろけは、やめろ。――てか、お前の基準は未だに弟なのかよっ」 「当然! 俺、数ダイスキだしぃー」 「ブラコンめ……」 そのまま下駄箱に直行すると言った木村と別れ、直久は教室に向かった。 教室にゆずるを待たせてある。 部活を引退してから、一緒に下校するようになった。 帰る家が同じなのだ。 約束などしていなくとも、自然とそういうふうになっていた。
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