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今は昔、遥か悠久の時を遡った頃。
大江山の麓の隠れ里。
ここは、人とは違う、鬼が隠れ住んでいた。
里の中央に位置する一際大きな屋敷では、里の者達が慌ただしく動き回っていた。
屋敷を覗き込みながら、二人の男が話をしている。
「雲雀(ひばり)様が産気づいたらしいぞ」
「おお、いよいよか。当主様も気が気で無いだろうな」
「ああ、何しろ待望の子供だからな」
「無事に生まれてくれれば良いが……」
「雲雀様か……お体の調子が悪そうだったからな」
「ああ、無事を願おう」
二人の男は、次第に集まりだした里の者達と頷きあうと、慌ただしい館を見つめた。
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