34人が本棚に入れています
本棚に追加
ぐしゃ、と弱々しくも肉片が潰れ、水道管が破裂したように、シェイクした缶コーラを開けたように、鮮やかな赤色が噴き出した。
白い雪原に鮮血が染みていく、いちごのショートケーキ。 しかしそんな甘くて美味しそうな比喩など、所詮比喩でしかなく。 雪原を、無数の死体が、トッピングどころではなく、埋め尽くしていた。
牙で喰い破られたような傷。 爪で抉られたような傷。 そんな、殺された無数の死体の真ん中に、二人の少女が、さらに堂々と立っていた。 奇妙なことに、二人は全く同じ表情で全く同じ顔立ちなのだ。 身長も、体型も、そしておそらく体重も、全く同じ。
片方は、赤いストレートに長い髪。 黒い地に白いレースのついた、もこもこの、しかし防寒としては些か寒そうなコート。 そして、赤と青の、オッドアイ。 もう片方は、青いストレートに長い髪。 白い地に、黒いレースのついた、もこもこの、しかし防寒としては些か寒そうなコート。 そして、青と赤の、オッドアイ。
似ているようで、真逆の二人。 可憐な、十代半ばの少女。 どこから観ても、誰が見ても、彼女達がこれらの無数の死体を殺したのだとは、思わないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!