闇無き闇

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そんな監獄学園の砂浜で、十数人の少年少女達が、汗を流し、ボール2つのドッジボールをしていた。 この砂浜だけでなく、森の中、校庭、反対側の崖っぷち、孤島の様々な場所で、ドッジボールが行われている。 球技大会。 竜宮学園は今、クラス対抗ドッジボール大会の、その練習一色に染まっているのだ。 「はあ」 短い、しかし重々しい溜め息。 ドッジボールの熱気に包まれた砂浜から少し離れた、涼しげな木陰。 そこで、弐谷早紀はだるそうに寝転がっていた。 だるそうに、というか、まんまだるくてサボっているのだが。 薄いワイシャツの襟元を引っ張ってなんとか涼しい空気を取り入れようとするが、汗でワイシャツがくっついて上手く出来ない上に、入ってくるのは、生温い熱気ばかり。 スラックスの感触も気持ちが悪く、思わず嫌そうに、犬のように舌を這い出す。 「あづい……ったく、何でこんな時期に、わざわざ外でドッジボールなんだよ。 冬の間に、暖房ついた室内でやりゃあいいのに。 ――いや、そもそもやりたくないんだけどな」
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