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そんなことを、可愛らしい顔を苦々しく歪めて、呟いた。
その、熱にやられてぼんやりとした目で眺めるのは、動きにくい砂浜で行われている、ドッジボールの練習。 ボールが跳ねて、飛んで、ぶつかる様。 その中心で、金髪、黄金の瞳の男――いや、女だったか。 勇は、「男気」と黒く太く書かれた暑そうなパーカーで、ボールをぶん投げていた。
「おめーらぁっ!!」
くわっ、と苛立ちにギラギラ輝く目を見開き、よく響く声で叫んだ。 ボールを思い切り、威嚇のように砂浜にぶつけ、砂を根こそぎ、抉る。
「ちんたらちんたら、やる気あんのかっ! もっとマジにやれよ! 優勝したくねーのかっ!」
別にどうでもいい、とここにいる大半の異端者達は思っているのだろうが、しかし敢えて口に出すような真似はしない。 クラスメイト達は恐怖に身を震わせ、
「す、すいません、勇さん!」
「がんばります!」
と敬礼して叫ぶのだった。
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