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「――って俺は何だ、ヒロイズムかよ」
「え?」
「何でもない……そう言えば、新菜はその、頑張ったり、努力したりはしなくて、いいのか? おいおい、まさかあんなこと言っておいて、自分はさぼりか?」
「違うもんねっ! あはは、宣戦布告も兼ねて、偵察に来たんだよ! 早瀬くんの力技は、強大だからね!」
「偵察がメインなのか。 いや、ありだけどさ……それは堂々と言っちゃだめだろ」
言ったら、偵察じゃなくて見学になると思う。 早紀は木にとまっている気持ちの悪い蝶々(蛾かもしれない)を見つけ、その辺にあった石ころを構える。 狙いを、定める。
「あ、あと――早紀と早瀬くんに、お客さんだった」
「客?」
がつん、と石ころは木に当たり、蝶々は潰れた。
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