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そんな事を考えてたら先に老人から声をかけられた。
「そこのぬしよ、此処にはいつからおるのだ。」
腰が少し曲がっており、それを支える杖をついて立っている老師は、目を閉じながら、しかし何事も透かし通した風に質問してきた。
燐鶯は、普段なら人すら見ないこの辺りになぜこんな場所にいるのかとそのまま返したかったのだが口からは、「分からない。」とでていた。
「ふぅむ、やはりな。」
目を閉じていたはずの老師は右片目を開け、そう答えた。
敵対心と言うのだろうか、老師から妙な気迫が一気に迫っていた。
「貴方は誰何ですか、僕を知っているんですか。」
気迫を押切、答えより先にそう答えていた。
“やはりか”という言葉に疑問掛かった。
「この先の町へ行け、ならばおぬしが誰か手がかりを掴めるやもしれない。おぬしにはもう時間がない、早く全てを知るのだ。」
そう言い、燐鶯に近づき手の平程の碧い石を渡された。あを言わせずに、
「これは、おぬし自身を表した石じゃ。おぬしに変化が有ればその石にも変化が表れる。また時が来れば会うことになる。」
そう言い残し、次の瞬きにはもういなかった。
燐鶯は唖然とするしかなかった。
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