行方

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行方

早朝、まだ日もでてないころ燐鶯は目が覚めた。「夢・・・・・。」 燐鶯は夢を見た。今まで一度も夢を見たことのなかった燐鶯はそれが夢というものなのか分からない。 だが、夢の話についてはずいぶんとまえに聞かされたような気がした。 だけど、教えてくれる人は居ないはず、なぜこんな事を知っているんだ。と燐鶯は思った。 そんな事を思っている間に朝の日ざしが矢のごとく燐鶯に降り注いだ。 「う~んっ!」 燐鶯は大きく伸びをした。そして、荷台からリンゴを取り出して一かじりした。「うん、美味い。」 リンゴの感想を述べてもい一かじり、もう二かじり、繰り返しにたいらげた。 「ごちそうさま。」 朝だけは必ず言う。 朝食をすませたあと、少し休憩をして出発することにした。 昨日会った老師の話によれば、この先に町が有るらしくそこで燐鶯の手掛かりが見つかるかもしれない。という話だった。 「いこうか。」 持っていく荷台車にそう話し掛けた。 歩くと荷台車からきしむ音が二回ほど鳴ったがそれはすぐになり止んだ。 真直ぐと続く道をどれくらい歩いただろうか。 そう思い始めてから、目的の場所らしき所が見え始めた。 「あれが、町・・・・・。」
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