一章

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研師にそう言った要望を伝えればほどほどの所で研ぎ上げを止め、寝刃を付けたのと同様の状態で納品してくれるものだが、微妙な使い加減までは流石に解してくれないからだ。 しかし、美しく磨かれた刃を痛めるのは、いささか気の引けることではあったが、翔にとって最早これは必要事項だ。 火急の際には、その辺の土や砂に打ち付けるだけで最低限の用は為すが、無駄な傷が付く上、間違って石に切り込みでもしたら目も当てられない。なので翔としてはあまりやりたいことではない。
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