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彼の部屋は実に質素だ。
簡易的な折畳み式のベット。そして部屋の真ん中にあるソファー。ただそれだけである。
テレビなどない。それどころか冷蔵庫すらない始末だ。
部屋の中は電灯が点いており、ソファーには一人の女性が雑誌を読みながら陣取る様に横に寝ていた。
「お帰り。翔(カケル)」
そう言って寝転んだ体勢でタオルを投げてくる女性。
「ああ、ただいま。燈華(トウカ)」
お互いに事務的な態度で挨拶する。
「翔、早く風呂に入ってこい。そんなずぶ濡れで部屋の中を歩くな」
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